WindowsCE開発FAQ


WindowsCE用ソフトウェアの開発を開始する為に必要な情報をFAQ形式でまとめました。

参考文献:
Jeffrey Richter, Windows CE(Pegasus):Microsoftの次期ポケットコンピュータ
について知っておかなければならないこと, MSJ, No.46 Dec. 1996


WindowsCE用のソフトを開発するには何が必要なの?
以下のものが必要です。

Visual C++ Ver.5.0とWindowsCE Toolkitが両方必要なの?
WindowsCE ToolkitはVisual C++ Ver.5.0のアドオンツールですので両方必要
です。

Visual C++ Ver.5.0は英語版と日本語版があるけど?
マイクロソフト株式会社は、Visual C++ Ver.5.0日本語版とWindowsCE Toolkit
を組み合わせて使用することに関して、動作を保証していません。
実際には、メニューが英語になる以外は特に支障はないようです。

Visual C++ Ver.5.0には何種類もあるみたいだけど?
Proffesional Edition以上が必要です。

WindowsCE Toolkitがお店に無いけど?
Visual C++ for WindowsCEは直販でのみ入手可能です。日本ではマイクロソフ
ト株式会社が取り扱います。カストマサービスセンター(TEL:048-226-5500,
FAX:048-226-5511)に連絡して購入申込書を入手してください(注:現時点で購
入できるのは英語版です)。
余談ですが、カストマサービスセンターにはなかなか繋がりませんし、繋がっ
ても10分以上待たされることが普通です。また、オペレーターによっては依頼
を素直に受けてくれない場合があります。後に証拠が残るFAXを利用すること
をお勧めします(筆者は購入申込書を入手するのに3回電話しました)。

Visual C++ Ver.5.0以外の開発環境は使えないの?
SDK内のincludeファイルやlibファイルを利用すれば、Visual C++ Ver.5.0以外
の環境でも開発可能であると思われます(未確認)。
個人的には、Visual C++ Ver.5.0 + Visual C++ for WindowsCEの組み合わせ
をお勧めします。
将来的にはVisual J++ for WindowsCEやVisual BASIC for WindowsCEもリリー
スされるのではないかと思われます(JavaVMとVB ScriptはWindowsCE2.0でサポー
ト予定)。
MetroWeaksのCodeWarriorがWindowsCEのサポートを発表していますが、組み込み
用をメインに考えているようです。

とりあえず試してみたいんだけど?
MicrosoftのサイトでSDKのβ版がダウンロード可能です。
但し、このβ版はかなり古いバージョンであり、また、H/PC実機用のバイナリを
作ることはできません。MSDNのCD-ROMにもこちらのβ版が収録されています。

SDKβ版にEmulationって付いてるけど、何のこと?
デスクトップ上にWindowsCEそっくりの画面が出てきて、そこでソフトを
実際に動かしてみて確かめることができます(俗に言うエミュレータのことです)。
但し、ダイアログの形が違っていたり、WindowsCEでは表示できない筈のカラー
画像が表示できたりという違いもあります。

Windows95では開発できないの?
WindowsCEは文字コードにUnicodeを採用しています。そのため、エミュレータが
WindowsNTでないと動かないのです。
余談ですが、ライブラリは全てSDKが提供しているわけですから、エミュレータを
使わないとするとWindows95でも開発できるんじゃないでしょうか。
実際にWindows95に入れて試してみると、エミュレータが使えないことを除けば
充分開発可能です(もちろん未保証です)。

WindowsCE日本語版の開発はできるの?
Visual C++ for WindowsCE英語版でも開発は可能です。但し、マイクロソフト
株式会社は英語版向けに作成したアプリの日本語版での動作を保証していませんし
実際、問題が発生して動かない場合もあります。
Visual C++ for WindowsC日本語版に関しては、8月1日受注受付開始、中旬発送、
を予定しているそうです。

開発にはどんな知識が必要になるの?
基本的にはWindows95やWindowsNT(Win32と総称されます)と同じです。Win32で
利用できるAPIの多くが利用できます。注意してコーディングすれば、殆ど同じ
ソースコードをWin32と共用することができます。WindowsCEの場合はWin32pと
表記するそうです。

Win32 APIは全て使えるの?
いくつかのAPIが使用できなくなっています。また、引数の型が変更になったり
パラメータの種類が制限されたりしているAPIもあります。独自のAPIも準備されて
います。

Win32で使用できるサービスは全部使えるの?
リソースが乏しい環境を想定したWindowsCEですので、かなりのサービスが省かれて
います。OLE、COM、ActiveX、DirectX、MAPI、ODBC、DDE等が省かれていますが
将来的にDirectX,COM等はサポートされるようです。

MFCは使えるの?
MFC liteと呼ばれるMFCのサブセット版が利用可能です。
Microsoftのサイトで公開されているSDKβ版ではMFCは使えません。

Win32pの独自機能は?
WindowsCEではCommandBar(画面上部のメニューやボタンが乗るバーのこと)と
呼ばれる新しいコントロールを採用していますので、CommandBar関連のAPIが追加
されています。また、独自にデータベース機能を搭載しています。重要な機能として
デスクトップ機からWindowsCE機をリモート操作する為のリモートAPI(RAPI)を
搭載しています。他には標準的なネットワーク関連機能(SMTP、RAS等)を搭載して
います。

ウィンドウシステムとしてWin32との違いは?
ウィンドウは基本的にサイズ変更できないことになっています(常に最大化した
状態にすることが推奨)。また、MDIの概念は存在しません。最上位のウィンドウを
作成することもできません。
デバイスがペンですので、カーソルの概念が希薄になっています(無いと考えても可)。

ファイルシステムのWin32との違いは?
基本的にWindowsCEのファイルシステムはFATを使用しない独自のものであり
RAM上に圧縮した形で収められています。しかし、Win32の標準的なファイル操作用
のAPIが使えますので、プログラマはその点に関して気にする必要がありません。
但し、いくつかの点で大きな違いもありますので注意が必要です。まず、ドライブ名
という概念はありません。全て単一のボリュームとして扱われます。また、PATHや
カレントディレクトリという概念もありません。そのため、ファイルの指定はフルパス
で行うことになりますし、DLLは常に\windowsディレクトリに置くことになります。

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